外の雪はまだ降り続いている。まるで私を手招きしているように。
皆がそれぞれ、きらきらと光る銀色の時の砂を与えられて生きているのよ。
そしてその量も、落ちる速度も、それぞれが違っているの_
いつかそう教えてくれたのは、彼女だった_
あたしの砂はあとどのくらいなのかしら。あなたのは、どうかしら、
まだたくさんあるかしら。そうだといいわね。
彼女の中の時間の砂は、私のものとは全くもって異なる速さと法則で
流れているに違いない。

しかし、今ここでその砂が気まぐれを起こし、彼女が私のように
老いてしまって、百合の美貌も、すらりとした身のこなしも、
深く刻まれたしわや、枯れ木のように曲がった体つきにとって
かわられたとしても、私は構わないのだ。私は彼女が彼女であれば良い。
姿形はなんら関係ない。私が何より想いを寄せる彼女そのものは、
彼女の外見がどうなろうと存在するに違いないのだ。

かたわらの彼女に、私は愛していると告げた。
いたわりの込められた彼女の手が、私の首筋を撫でる。
窓の外はまだ雪である。ガラスの向こうの空はすっかり暗い。
彼女はまだ明かりをつけない。
見上げると、彼女はまた悲しげに笑う。

私は彼女を決して悲しませたくはないのだった。初秋の森の木漏れ日のように、ゆったりと幸せそうに微笑んでほしいと思う。
だから私は間抜けな仕草を_
昔、彼女がそれを見て愉快げに笑んでくれた仕草を、萎えた体で懸命に繰り返した。彼女が喜ぶのなら、私はいつだって道化になろう。
彼女の笑顔は、ますます泣きそうになった。

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