猫雑誌で賞をとった『時の砂』という作品があります。
人の数倍の時の流れの中で生きる猫を
テーマにした作品で、凄く感激した。
何回も読んで、何回も涙した。
猫の「時の砂」の速さを知ってるからこそ
これ程、共鳴するんだと思う。
ぴ〜ちが天使になったいま、改めて読みかえし、また泣く。

文章はかなり細やかで、普段使わない日本語も多く使われてて
じっくりと読み応えがある。
一度最後まで読み、主人公と登場人物の関係が
わかってからもう一度読みなおすと新たに感動すると思います。

ワープロ打ちし、ミ二ブックまで作ってしまった程、大好きな作品です。
ぜひぜひ沢山の人に読んでもらいたい素敵な作品なので
紹介させてもらうことにしました。
(全5ページ)

`*:;,。・★ 〜☆・:.,;* 時の砂`*:;,。・★ 〜☆・:.,;*

夢を見ていた。
ゆるゆるとまぶたを開く。水を満たしたグラスを通して
見るようなぼやけた視界が、徐々にしっかりと固まってゆく。
冬の陽ははや落ちかけて、室内はほの暗い。明りはまだ灯されてはいない。

横たわったまま、私は窓の外を眺める。ずいぶん長いこと眠ったと
思ったのに、眠りに落ちる前にもちらついていた雪は、まだ降り続いている。
一定の法則に基づいて流れ落ちる砂の如く、雪は今も全く同じ調子だった。
激しくはなく、止む気配もない。暮れゆく空の下、
白はひたすらに穏やかだった。

私はふと小さく笑った。先ほどまで見ていた夢を思い出したのだ。
夢の世界での私は、精悍で凛々しい青年だった。
もう、ずっと昔に私から消えた若さが、体中に満ち溢れていた。
筋肉のすべてがしなやかに柔らかく、かつ鋭敏に躍動した。

私の隣には、彼女がいた。
彼女は青年の私に笑いかけた。すらりとした百合の花が
咲きこぼれるように。夢の中の彼女は私と同様に若く、
素晴らしく美しかった。暖かい肌理の細やかな白い指で私に触れた。
永遠に続けば良いと願った懐かしい日々が、
私の手元に戻ってき来たのだと思った。幸せな夢だった。


窓の外に降る雪片を、
何をするともなく眺めていると、
彼女の気配を感じた。
首を回して、気配の方向に目をやる。
私の視線を受け止めて、彼女は微笑んだ。
眠っていたのね?そう呟いた。

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